自転車に乗って風を追う

暑い中、関東平野を北上

朝5時30分、曇り空ではあるが蒸し暑くなりそうな予感を抱きながら家を出る。
クロスバイクにフロントバッグとサイドバッグを付け、キャリアにはテントを積んだ。今年初めてのキャンプツーリングだ。
行き先は渡良瀬川の上流部が終わりになるあたりの大間々だ。
3年前の秋に渡良瀬渓谷鉄道の終着駅「間藤(まとう)」から川に沿った道を下ったが、大間々からは川をはずれて伊勢崎、本庄へと南下したので、今回は改めて大間々から渡良瀬川沿いを走ってみようと思った。
電車で大間々まで輪行することを考えていたが、キャンプツーリングをしたかったので荷物が多くなり輪行が不可能にちかかったからやむを得ずの自走となったというわけだ。

17号線と旧中山道を使って熊谷までは何度か経験もあるから特別な思いも殆どない。
11時、開店時間を待つようにして熊谷のファミレスで早めの昼食をする。浦和を過ぎたあたりから陽が照りつけ始め暑さが辛くなってきたから冷房のきいた店内は極楽だ。

いよいよ陽射しは更に強くなるなか妻沼(めぬま)の市街地へ向かう道をたどる。車道の端はアスファルトが凸凹になっていて走りづらいから中よりに出てしまったら路線バスがクラクションを鳴らしてきたので慌てて左にハンドルをきったらバランスを崩し傍らの塀に当たって左薬指を切り血が流れ落ちてきた。救急バッグからガーゼとテープを取り出して切り口を閉じるようにしながら撒きつける。

妻沼の市街中心部にくると左手に日本三大聖天の一つとして知られる妻沼聖天山(めぬましょうでんざん)が見えたので暑さしのぎをかねて立ち寄る。この道は父が太田の病院に入院している頃バスで何度か通過したことはあるのだがこの聖天山は初めてだ。
生憎と本堂は解体修理中で見ることができなかったが如何にも時代を感じさせる山門は夏の日差しの中で悠然としていた。山門の日陰は風が通り抜けすっと汗が引く。

利根川に出て刀水(とうすい)橋を渡ると群馬県太田市に入る。ここから一気に薮塚や桐生方面へ直進してもいいのだが細谷方面へ道をたどる。江戸時代中期の思想家で明治維新の先駆者とされる人物の高山彦九郎記念館へ寄ってみたっかたのだ。
すぐ近くに従兄弟もいて時々行くこともあるのだがついぞこの記念館に行く機会が無かった。
この人物の存在を知ったのは比較的最近のことであるが、昨年に久留米でこの人の墓所がある遍照院を訪れたこともありなおさらの思いがあった。
地味な存在ではあるが、全国を行脚し幕末の混乱期に思想家のネットワークを作り上げた功績がたたえられていることに納得をする。

未だ陽は高く暑さも一段と強くなってきた道を走る。
風は送り風だし、道も平坦なので思いのほか距離が稼げるが暑い。裏手に涼しそうな木立のある神社を見つけ木立の中で休むことにする。すぐそばの児童公園の水道の蛇口をひねると冷たい水がほとばしってきた。それを頭からかぶってほてりを和らげると実に気持ちいい。
冷たい水のありがたさをしみじみと思う。
ベンチの上で寝転がりしばらくまどろんでから再び走り出そうとすると、少し前に駐車したらしいパトカーの警官が「この暑いなかを自転車でよく走るね。気をつけてくださいね!」と声を掛けてくれた。白髪頭の爺風情が自転車ツーリングなんてあきれていたのかも知れないが。
そういえば、高山彦九郎記念館の職員も東京から大間々まで行くつもりだと聞いて半分あきれていたようだった。

薮塚温泉への道を右にみて桐生方面へ進むと少しずつ勾配を感じるようになってきた。
温泉宿に泊まって一風呂浴びたらどんなにか気持ちいいだろうなと思いながらも、今宵は絶対に野宿なのだと言い聞かせる。ここで誘惑に負けたくはなかった。
もう少しで利根川に出るというあたりでコンビニに立ち寄り、どこでこの走りをやめてテントを張ってもいいように水と若干の食料を購入する。
地図を開くことも無く大間々駅方向を示すGPSの矢印と道路標識だけで走り続ける。
もうかなり走っているようなのにそれほどの疲れは感じていなかった。
大間々の市街地に入りなおも北上すると高津戸峡・撥滝橋への案内を見つけ、渡良瀬渓谷鉄道の踏切を超え川に向かうとすぐに歩行者専用の撥滝橋はあった。
橋をわたった袂から階段状の遊歩道を少し下ったところに東屋風の休憩施設があるのでここを今夜の寝所と決める。
時間は17時少し前。家を出てから12時間弱。走行距離133キロ。これは自己最高の一日の走行距離だった。

しかし、ついてみるとさすがに疲れがでてきた。とりあえず蚊取り線香だけを炊いてベンチの上で横になるといつしか寝込んでいて目が覚めたときは18時半に近かった。
もう殆ど人も通らず、渓流の流れの音だけが私の全身を包んでいる。
水分を取りすぎたためか疲れのせいか食欲も無かったので無調理で簡単に食事を済ますと蚊帳代わりにインナーテントだけを張って思い切り体を横たえることにした。
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by kiyohito-o | 2005-07-29 22:30 | 自転車
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