庭の日陰で寝そべっていた愛犬「チャコ」が
やにわに起きだして南天の根元にダッシュした。
何を見つけたのかと眺めていると穴から這い出して脱皮のために南天の細い幹に取り付いている
蝉の幼虫をみつけたのだった。幼虫の背中が割れて既に殻から出ようとしているところだったので、その音を「チャコ」が聞きつけたものらしい。
南天のそばには幹の太さが20センチばかりになった木蓮の木があり、その根方の地面には1センチほどの穴がいくつもある。これはどれも蝉の幼虫が出てきたところのようfだ。
気がつけば木の幹だけでなく家の壁にも、しばらく出しっぱなしにしてあったブルーシートにまでも抜け殻を見つけることができた。
生憎と私は軽度の聴力障害が出ているので蝉の鳴き声も聞こえなくなってしまったが、この夏もかなり騒がしくアブラゼミが鳴いているらしいが、そのうちの何分のいくつかは我が家の庭から巣立っていったのだろう。
蝉は成虫になってわずか1週間から2週間という。地面の中で過ごす幼虫の期間は実に7年と聞く。だからよく蝉の一生を人間のそれに例えられることも多い。
「チャコ」は夕方の散歩途中で、植え込みの近くを嗅ぎまわっていて突然目を凝らし始めた。と思うまもなく何かが飛び立っていった。私も目でそれを追いかけてみると蝉だった。「チャコ」も顔を空に向けて蝉の行方を追っていた。
どうやら「チャコ」は蝉を格好の遊び相手としたようだ。