起床して外を見ると雨は降っていなかった。
朝食までに時間があるので庭へ出てみる。2面あるテニスコートの周囲は湿地状で池もある。
山荘の裏手へ上る細い道は小さな流れをわたるが、5月から6月ころなら水芭蕉が咲いているはずだが、今は草と木々の葉の緑一色。
朝食は和洋混在だからパンでもご飯でも好きなものを食えばいい。が味噌汁がないのがちょっとさびしいかな。
食後は妻とひとしきり卓球に興ずる。私は得意な何でも球技は好きなほうではないが、妻は卓球は得意というより好きなので無理に私を誘ったのだった。
冷房の効いた部屋でも汗をかき始めたところで終了にし、出発の支度をする。
バス停まで森の中の道を行く。登りであるにもかかわらず昨日歩いたときよりも近く感じたのは疲れの出た夕方とこれからという朝との違いだろうか。
結構早めについてしまったのとバスが少し遅れ、そのうちに結構強い雨が振り出してきたので待合所の中でじっと待つしかなかった。
バスでとりあえず奥社への入り口まで行くことにした。
雨は多少弱くなってきたが降り続いている。奥社への参道は結構広く、まっすぐに緩やかに上っていく。両側には小さい川が水の流れる音を走らせている。
先へ行くにしたがって両側に大きな杉の並木が現れる。
奥社までのおよそ2キロの半分を過ぎたころ雨が上がってきた。不ぞろいの石段をあがるころには雲間から青空ものぞきだした。
奥社は中社に比べるとずっと小さく、がけの岩の穴かに突っ込むように建っている。
晴れていれば遠くの景色が眺められそうだが今は雲に覆われている。
帰路は青空が広がりだし、あがってくるときは気づかなかった参道の途中にある藁葺きの山門の屋根の上に生えた草が陽の光に蒼く透けていた。
草の葉先の露も白く光っている。
昼食はもちろんここでは戸隠蕎麦。天ざる蕎麦を注文。蕎麦の盛り付けが変わっている。1人前の蕎麦を5つばかりに小分けにしてある。「ぼっち盛り」といって神前に備えるハレの料理だということだ。
このあと近くの戸隠民俗館・戸隠流忍法資料館へ入ってみる。民族館にはこの土地で使われた器具や衣類などが展示されているだけだが、ここで興味を引いたのは蕎麦を盛り付けるざるだった。これまで目にしてきたざるとは編み方が違って、周囲と中央部の編み方が異なっているのだ。
戸隠流忍法資料館のからくり屋敷は楽しめる。
入り口で靴を脱いで棚におき中へと進む。が、次の部屋への口が見つからない。隠し戸になっているからそれを探さなければならない。何とか他の人と協力して見つけたり、壁の汚れを頼りに探って見たりしながら進む。やがて斜めに傾いた部屋に行き当たる。畳で足が滑って上に上がれない面白さがあるが、いつまでもいると感覚がおかしくなりそうだった。
ここで終わりかと来た経路を戻って入り口にでると、係り人が「出口はここでなく部屋を回ってこないとだめだとのこと。靴を置いた棚を見るとなるほど自分の靴がないのだ。
証拠となく再び挑戦する。とても自分たちだけでは無理だったのではないかと思うほどに難しかった。が面白かった。
すっかり晴れ上がった空からの陽射しは猛烈に暑かった。蕎麦ソフトアイスを食べてほっとする。このアイス、ほのかにそば粉菓子の味わいだった。
長野駅までまたバスで戻る。今度はループ橋経由の新しい道だ。
道幅も広く、勾配もゆるい。
長野駅で東北地方に大きな地震があったことを知った。
その影響で帰着はどうなるかと心配したが、大きな障害もなく無事帰宅できた。